【40】むつ-恐山-薬研

2日前に会ったツナギのお兄さんが言っていた恐山はむつ市にある。偶然にも泊まった宿が恐山への道の入り口にあった。宿の職員さんはぜひ訪れていただきたいと、青森出身の大学時代の友人もぜひ行ってみてと、恐らくここを通るのは一回しかない、行くに決めた。

久しぶりの山道、勾配は11%となかなかエグい。 f:id:RSSHAKE:20210515220114j:image自転車を押してばかりいたリアス式海岸沿いを懐かしみながら自転車を押す。汗が止まらない。中間あたりで恐山冷水があった。f:id:RSSHAKE:20210515220016j:image
f:id:RSSHAKE:20210515220009j:image「れいすい」ではなく「ひやみず」。不老水とも書かれ、飲めば寿命が長くなるとか。一杯で10年二杯で20年、三杯で死ぬまで生きる、とネットにはあるが、三杯目の意味がさっぱりわからない。ここは俗世界と霊界の境目であるとも書かれている。寒いのはそのためだろうか。大型貸切バスが3台連行で登っていく。学校行事だろうか。排気が際立って匂う。

 

残り半分をなんとか登り切り、宇曽利山湖が見えてきた。強い硫黄臭が漂っている。草津温泉よりも強い。f:id:RSSHAKE:20210515220433j:image

宇曽利とはなんなのか。調べてみるといくつか説が見つかる。アイヌ語が形を変えて宇曽利となった説は二つ見つかり、一つは「ウショロ」もう一つは「オソルコ」。恐山菩提寺が円仁によって開かれたのは862年、平安時代で征夷が始まったのは700年代頭から、そうなるとアイヌ語由来が強いだろうか。

入山料を払い恐山菩提寺に入る。f:id:RSSHAKE:20210515220808j:image
f:id:RSSHAKE:20210515220812j:image寺院の知識がないため、詳細が頭に入らないが、霊場である事は場の雰囲気から伝わる。積み上げられた石、回る風車は亡くなってしまった子どもを供養するためのもの。手向けられた草履や布は、あの世への旅たち、又は現世に帰ってきた時のための物。名前が彫ってある石もあり、それらをみながら、立ち止まり、ゆっくりと進んでいく。足元に注意しなければ、積まれた石を崩してしまうかもしれない、緊張した。f:id:RSSHAKE:20210515220837j:image
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順路後半には極楽浜と名付けられた白い浜がある。地獄の灰色が一変、この白さ。f:id:RSSHAKE:20210515220904j:image

山門を出て、蓮華庵という食事処でカレーを食べる。何故か自転車で来た事を当てられ、大盛りにしてくれた。いつみられていたのだろうか。

 

今夜は雨が降る。大間まで行きたいが恐山を出るには必ず坂を登る。海沿いへの道に薬研(やげん)野営場があるので、大間へは明日向かうことにした。

ピークは恐山を出たあとだった。気づくと後頭部に大量の虫が飛んでいる。足を止めると目に近づいてきたり、荷台のタオルに群がったりする。後で調べると、メマトイというハエだったのかもしれない。下りになれば速度も出て虫たちはいなくなった。

 

15時ごろ薬研野営場に到着した。看板に「有料キャンプ場」と目立つ紙がある。f:id:RSSHAKE:20210515221622j:imageしれっとテント泊する人が多いのだろうか。受付を済ませると、おっちゃんが名刺くれと言ってきた。どうやら日本一周している人のブログをよくみているらしく、私もその一種なので聞いたそうだ。作っておいた方がいいよと言われる。嫌だけど、このブログのURLとQRコードの紙くらいは用意した方がいいかも。

2.5kmほど先に進んだ奥薬研に、かっぱの湯があることを教えてくれた。洗剤使用禁止の温泉で、タダで入れる。歩いて向かおうとしたらおっちゃんが、「自転車の方がいいぞ」と声をかけてくれた。けど歩きたいので優しさだけ受け取っておく。

 

かっぱの湯は男女の入浴時間が交替で回る温泉だ。そばには川が流れ、良い匂いが薄く漂ういいところだった。かっぱの湯の由来、円仁がここにきた際に足を滑らせ怪我をし、そこにかっぱが現れて円仁をフキの葉で包んだ、円仁が目を覚ますと湯の中におり、怪我はすっかり治っていたという。湯船にはかっぱの像があった。f:id:RSSHAKE:20210516054705j:image

 

野営場へ戻る道にはでかい廃旅館があった。昔はこれが埋まるほど人が来ていたのだろうか。f:id:RSSHAKE:20210515221913j:image

テントの中に入り寝袋に包まれると、気がついたら眠っていた。雨音で目が覚めると夜中の1時。薬研に来ておいてよかった...

明日も無事でありますよう、気をつけます。

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