【18】浪江-伝承館

※今回も震災について触れます。ご注意ください。

 

朝4時に起床、気温は5℃。放射冷却で朝晩の冷え込みはエグい。人が動き始める前にテントを撤収する。

昨晩、震災遺構を調べていた。ここから一番原発に近い箇所は「東日本大震災原子力災害伝承館」。目指すには国道6号を南下する。この道には津波が浸水した区域を示す看板がある。海岸からは離れていて高さもあるのにここまで来たのか。

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道の駅なみえに到着した。今年の3月20日にオープンしたばかりの施設のようだ。とても綺麗。入ると浪江町のキャラクター「うけどん」がいる。

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とてもかわいい。クロミと同等にかわいい。お米の妖精で地元に大人気、個性豊かな家族もいるようだ。このキャラクターを通して、ここから離れた後も浪江の情報を得れれば最高だ。

うけどん広場 (ukedon.jp)

 

電子マネー決済ができる食堂で久しぶりのカレーをいただき、国道6号を進むとすぐに看板が。

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帰還困難区域を通るこの先は自転車と歩行者は通行できない。どうしたものかと、伝承館に電話して道を尋ねると、海沿いの道なら通れるそうだ。道の駅まで戻りそこから海へ向かう。

お兄さんに声をかけられた。この先東京方面は自転車ではいかれないことを教えてくれた。お兄さんはさっき私が国道の看板で止まっていたのを見て、ここを通るであろうと考え待っていてくれた。探偵かな?私みたいな人は時々見かけるみたいだが、気配りとやさしさで満ち溢れた良い人だった。感謝し、先に進む。

 

海沿いを見渡すと何もない、すべて流されてしまったのだろう。施設が見えてくるが、そこには瓦礫と黒い袋が積まれている。程なくして伝承館に到着した。すぐ目の前には中間貯蔵施設がある。丘の向こうには福島第一原発、一番近くまでこれた。

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入場券を購入すると、まず大きな空間で原発建設から事故後までの映像を見る。福島の著名人西田敏行がナレーションだ。「発電所廃炉作業はまだまだ続いて、私が生きているうちに見届けられっかどうか...むりかもしんねぇな」この言葉が記憶に残る。

映像が終わると、展示へ順路を進む。事故前の相双地域(相馬と双葉)と原発についてや、震災当時の消防や自治体の動き、住民の度重なる避難、発見された物品、震災後の被害等、多くの展示や映像資料がある。しかし、壁面にある写真がすべて白黒なのはなぜなのだろう。

当日最後の語り部講演があると職員に声をかけられた。震災を経験した地域の人々がここで講演を行っている。聞きに行くと私一人だけ。話者さんは当時、原発近くの工場で勤務していた。大きな揺れで机の下に隠れたが、作業していたデータの保存をしようと身を出そうとした時にロッカーが倒れた事から、自身の身を守る行動以外はしちゃいけねぇと強く感じたそうだ。避難の道中、背後に広がる津波の猛威を目にし、あと数分行動するのが遅かったら確実に死んでいた、偶然が重なって今生きている。その時の光景を詳細に教えてくれた。

「ここにある展示物はいろいろ書いてあるけど、問いかけてはこない。私たちは問いかけることができる。あなたの地域でもし災害が起こったらどうするか、考えることの一助になれるかもしれない」という言葉を聞いて、この施設を見るだけではダメだと感じた。

 

伝承館を出たのは16時半。日も落ち始め風も強く寒い。当初は相馬へ戻ろうとしたが、道の駅浪江の近くにあるホテル双葉の杜に宿泊することにした。ここは去年の7月にオープンしたようだ。

明日は双葉駅周辺を見る。

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明日も無事でありますよう、気を付けます。