【116】珠洲-輪島

能登半島の海は禄剛崎灯台を境に北を外浦、南を内浦と呼ぶ。内浦側は気候が穏やかで生活しやすく、外浦側は景勝地が多いが風が強く生活しにくい。冬はそれなりに雪が降るそうで、外浦は風が強く積雪がなく、内浦は膝下まで積もるらしい。珠洲から伸びる国道は国道には峠越えしか待っていないのならば灯台へ行くしかない。f:id:RSSHAKE:20210730055043j:image

須須神社日本海一帯の守護神として知られる神社、宝物殿には蝉折という龍笛が納められている。日宋貿易で得た漢竹で作られた龍笛は、まるで生きた蝉の様な美しい節があるらしい。膝下においた衝撃で節が折れてしまいその名になったそうだ。f:id:RSSHAKE:20210730055047j:image
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石の大鳥居の寄贈者は札幌の方、北前船が関わっているのだろうか。鳥居のそばには見上げる高さの大きな格納庫がある。須須神社で行われる寺家キリコ祭で使われる大キリコが入っている。格納庫ができたおかげで、以前は組み立てからしなければならなかった準備が楽になったそうだ。
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禄剛崎灯台までの小さな坂を超えた駐車帯からは黒い海と青い空、でかい積乱雲、夏の景色が広がっていた。ツーリングのバイカーさんが、カメラスタンドのバランスをとっている。声をかけてシャッターを切らせていただいた。最近石川県に移ってこられたそうだ。この日差しでのバイクウェアとヘルメットは相当暑いらしい。別れ際、坂を登っていくバイクの音と姿がとても印象に残る。f:id:RSSHAKE:20210730055027j:image

灯台への入口は道の駅狼煙向かいの遊歩道。400m程坂を登ると灯台へ辿り着く。ここを回るに決めたこの地名「狼煙」。灯台ができる前、海難事故が多発した海沿いを行く船舶のために、近くの山伏山で狼煙が多く焚かれていたそうだ。
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先程あったバイカーさんが、今日灯台へ行って良かったと仰っていた。とても綺麗だ。この灯台には菊の御門プレートが付けられている。日本で唯一だそうだ。書かれている内容、掛けられた経緯は後ほど調べるとしよう。灯台の先の小さな石階段の展望台からは、一本だけ長く伸びた草と積乱雲が綺麗に見える。
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灯台周辺には色々なモニュメントが建っている。休憩用の小屋もあり、整備が行き届いている。能登半島に入ってから1日50km以上進んでいない。それほど見る箇所があった。しかしこれからはそうもいっていられない。名残惜しいが食事を済ませ狼煙を後にする。

目的地は輪島。中間に綺麗な棚田で有名な米山千枚田がある。棚田があるということは前後に坂があるとは思っていたが、やはりそうだった。手前の集落で海岸まで降ろされ千枚田まで登る。しんどかった。棚田の遊歩道も結局歩いてしまいさらに疲れる。海岸近くの棚田にはイオンリテール関連の札が多く刺さっていた。企業だけでなく地元の子供や県外の高校もこの棚田に関わっているそうだ。
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日が落ち始めた頃に輪島に着いた。能登半島の町ではかなりでかい。公衆浴場で風呂を済ませ、海岸沿いの大きな公園の隅に良さげな場所を見つけた。ちなみに今日はすぐに眠れない。御陣乗太鼓というものが、公園近くのキリコ会館のステージで演奏されるからだ。20時30分まで写真整理やらを済ませる。
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千枚田の道の駅でポスターを見かけて初めて知った御陣乗太鼓。爺面や達磨の面を被り演奏する太鼓で、由来は名舟という町だそうだ。調べると、千枚田の手前、降ろされた町が名舟だった。小さな漁村だった名舟の民が近づいてきた上杉の軍を退けるために行ったのが御陣乗太鼓。村民は面をつけ、上杉軍へ陣太鼓の夜襲を掛けた。怪物が夜に突然太鼓を打ち鳴らし接近してきた為上杉軍は退いたという。
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演奏は速いリズムで始まり、怪物が見栄を切りながら速さはどんどん増していく。観覧していた子供が何人か泣き始めた。速くなるリズムと近づいてくる面の怪物に不安を感じるのだろう。今でこそ照明があるが、炎の光だけでこの光景を何も知らず見たら怖いだろう。演奏は速さが極まったところで終わる。

ステージ横の売店で甘物を買った。夏の間ほぼ毎日演奏しているそうだ。面の怪物を演じていた人たちは中年かそれ以上に見受けられた。リズムは段々と速くなり、それに合わせて見栄を切りながら演奏するのは非常に難しい。練習は結構キツイそうだ。

テントに戻り、明日に備えてすぐ眠る。偶然ではあったが、見て知れて本当によかった。明日も無事であります様、気をつけます。f:id:RSSHAKE:20210730075810j:image