【109】朝日-黒部峡谷・欅平-魚津

久しぶりに夜明け前に目が覚めた。寝袋から出ていた部分が見事に痒い。先に進まなきゃならないが、黒部峡谷に伸びる線路が気になって仕方がない。こういう時は行くに限る。出発する前に、局留めされている北陸マップルを受け取らねばならない。9時過ぎ、まだ物は来ていなかった。恐らく1時間後に来るはずと局員さんが、それまで近くにある見所さんを回収する。

あさひ舟川、春の四重奏。残雪、桜並木、チューリップ、菜の花、4層の美しい景観が4月中旬頃に見られる。既に7月だが、直線の桜並木は大河原の曲線とは違った綺麗さ。並木の横には田んぼアートが。近くの泊高校の生徒が原案を作り、田植えはチューリップ農家の方と生徒数人で行ったそうだ。四重奏のチューリップ農家さん、今は1人しかいらっしゃらない様だ。
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郵便局に戻り物を受け取った。親切な局員さんありがとう。10時半、黒部峡谷へ向かうには時間的にはギリギリ。愛本駅という山の入り口にある駅まで緩い登りを17kmほど進む。今日も蒸し暑く、汗が止まらない。三大奇矯の看板を目にするが寄る余裕がなかった。愛本駅は変電所の奥にある無人駅、駅舎内には伝言板や古い看板があった。
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電車で宇奈月温泉駅まで行き、そこからトロッコ電車への乗り継ぐ。前の会社で黒部立山アルペンルートはよく見聞きしていたが、訪れるのがそこではなく宇奈月だとは...正直よく調べず勢いで来たのだが、トロッコに乗る前から山深さに驚いていた。今の時期は北信越に住む人が運賃3割引らしく、免許表面は長野の住所なのでこれ出せば...などと考えてしまったが、ケチっても仕方がない。売店でたこ焼きを買い、トロッコの普通席に座る。
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普通席に窓はなく、鎖で乗り口が塞がれるのみ。険しい峡谷の淵をトロッコは登っていく。片道1時間20分、室井滋の車内放送は軌道各所に点在する案内看板を細かく案内してくれる。f:id:RSSHAKE:20210722233159j:image
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深い峡谷に送電鉄塔黒部峡谷電源開発はくろよんダムでとても有名だが、宇奈月周辺のことは調べたことはなかった。黒部の降水量と降雪量はとても多く、長い年月をかけて水流が削ったV字谷を流れる川の勢いは強い。ここに水力発電の可能性が見出されたのが大正7年の頃。アルミ国内精錬の為の電力を作り出す為に峡谷の調査始まった。大正12年には宇奈月から猫又というところまでの軌道が開削され、日電歩道という、今の黒四地区までの調査歩道の開削も始まった。昭和15年(1940年)には欅平までの電車が通じ、黒部第三発電所が建設された。f:id:RSSHAKE:20210723070622j:image
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戦後、経済復興の時期、関西は電力不足の問題を抱えていた。一般家庭では週3日の休電日があったり、昼間の停電もあったそうだ。この問題に取り組んだのが関西電力。世紀の大工事、黒部ダムと黒部第四発電所の建設に至る歴史は小説、映像作品でも取り上げられる。宇奈月から欅平まではクロヨンに至る歴史を辿る道だった。

欅平までの長いトンネルで久しぶりに寒さを感じた。開発が進む前、この地域には欅が広がっていたそうだ。欅平駅から散策を始める。メインスポット猿飛橋への散策道は未整備で行かれない。奥鐘橋、人喰い岩、名剣温泉を見て回った。f:id:RSSHAKE:20210723070833j:image
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ロッコ電車の最終は16時42分。大体1時間ちょいの散策だった。時間に余裕があれば祖母谷地獄まで行きたかったが、それはまた別の機会に。最終列車には仕事を終えたであろう作業員の方もいた。トロッコ電車は観光用だけじゃなく工事作業員用の列車もあり、観光用では途中止まらない駅に止まる。帰りの室井滋案内放送は静かだった。日が沈み、トンネルの中はとても寒い。宇奈月湖の湖面にはモヤが出ていた。f:id:RSSHAKE:20210723080156j:image
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18時30分頃愛本駅まで帰ってきた。来て本当によかった。実はここに興味を引かれたきっかけが、衛生写真で出てきた宇奈月温泉木管事件碑だったのだが、宇奈月温泉駅から徒歩で1時間かかるところにありいけなかった。バッテリーが空なので今日は魚津の快活へ向かう。道中左手に見える山の連なり方が美しい。f:id:RSSHAKE:20210723080200j:image

明日も無事であります様、気をつけます。f:id:RSSHAKE:20210723131454j:image