【88】函館市電周遊 函館山

空調が効いたターミナルの夜は意外とすぐ眠れた。朝6時ごろに外を見ると晴れている。まだ函館山に雲がかかっているが、大丈夫だろう。

日中、市電バス共通一日乗車券で市内を回ってみるのが良さそうだ。ありがとう、北海道で最初に話した人。スマホで乗車券を買える「Donna!!」というサービスは不明なエラーで使えない。仕方なく函館駅の観光案内所で買うことに。自転車は駐輪場の隅っこに鍵をかけ置いておく。乗車券を購入すると、函館山登山バスの時刻表を渡してくれた。登山バスも適用範囲内なのは驚きだ。17:45函館駅4番乗り場、それまでに色々行く。

駅前から少し離れた場所に市電駅前がある。Dはどっく、Yは谷地頭(ヤチガシラ)。道路中央に路線が走り、交差点には市電専用信号がある。線路は湯の川から十字街(ジュウジガイ)まで共通、そこから分岐する。市電の隣には車が走る。もし接触事故が起こったらどうなるのだろう、考えなくてもいいことを考えてしまう。f:id:RSSHAKE:20210702085258j:imagef:id:RSSHAKE:20210702085251j:image

函館どっくまでは大体20分くらい。「函館どつく」は企業名。ばら積み貨物船やカーフェリーを作っており、青函フェリーの船は函館どっく製。津軽海峡の奴は広島県尾道にある内海造船会社製。特にばら積み船製造が強いらしい。船のサイズで、VLOC、ケープサイズ、パナマックス、ハンディマックス、スモールハンディに分かれる。パナマ運河を通れるのがパナマックス以下、ケープサイズ以上は運河を通れないため喜望峰ホーン岬を回って航海する。f:id:RSSHAKE:20210703080804j:image

駅から南に歩くと、寺院墓地の向かいに外国人墓地がある。ロシア、中国、プロテスタントカトリックキリスト教日本人、ハリストス正教会の墓地ががある。墓碑はみんな海に向かっている。遠い自国を見ているのだろう。行ったときは未調査だったのが悔やまれる。海の向こうの山は雲に遮られ見えない。f:id:RSSHAKE:20210702085255j:image
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墓地から東の坂へ移動し、旧ロシア領事館へ行く。付属建築物の解体作業が行われていた。領事館からさらに坂を上ると山上大神宮に着く。鳥居からは造船所と七飯が見渡せる。
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末広町駅周辺は教会、寺院、旧イギリス領事館、公会堂、高校、そこかしこに案内看板がある。有名な八幡坂もここにあり、この坂を下ればベイエリアにつながる。函館山から伸びる坂はそれぞれ名前がついている。どの坂も自転車で上るのは大変な急坂、ここに住居を構える方々はほぼ毎日ここを行き来しているのか。f:id:RSSHAKE:20210702085521j:image
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市電の分岐点、十字街駅へ。ここから湯の島まで移動する。駅を降りると、トラピスチヌ修道院という、女性修道士の教会までのバスがある。北海道初日に行った当別トラピスト修道院を思い出すが、男性が行ってもしょうがない。着陸間際のJAL航空機が頭上を飛んでいくのを見て、別系統のバスで函館空港へ行くことにした。つい運転手の無線の内容に耳を傾けてしまい、レシップ製の運賃箱や音声合成に目が行ってしまう。空港のフラップ式時刻案内を見るのは久しぶりな気がした。確か女満別空港はディスプレイ表示だった。これが動く時の音の気持ちのよさよ。航空機がちょうど来ない時間帯だった。f:id:RSSHAKE:20210702085645j:image

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五稜郭公園前まで戻り、市電公園前駅から谷地頭まで。ここから南に立待岬があるのだが、時間がないので近くの海まで行って引き返し、函館駅前まで戻る。f:id:RSSHAKE:20210702085626j:image
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17時ごろ函館駅に戻ってきた。市電の本数が想像以上に多く、色々行くことができた。4番乗り場には少し列ができており、バスが到着し乗車すると椅子がすべて埋まるほどだった。f:id:RSSHAKE:20210703071936j:image途中バス停からの乗客に席を譲り、立ちながら前窓を眺める。バスは立待岬停車場線という道路を登っていく。17時から22時まではマイカーは規制されている道路で、バイクと自転車は年中走れない。この道が狭く、急カーブの連続。タクシーも通っていたので、すれ違いの方法がすごく気になる。ポールを強く握り揺れに耐えるのも懐かしい、30分ほどで山頂についた。日に焼けた姿、降車扱い後すぐにタバコを咥え、車両の確認をする運転士の姿は全国共通、かっこいい。f:id:RSSHAKE:20210703072009j:image
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日の入りまで時間はあるが、展望台からの景色はそれでも綺麗だ。西は白神岬右は恵山、左から行って真ん中から帰ってくるのに約2700km走ってきたのかと思うと、本当に北海道は広かった。f:id:RSSHAKE:20210703072046j:image

写真を撮るのはどこがよさげか見回る。あの夜景の場所、湾と渡島、そしてテレビ・ラジオ塔がよさそうだ。日暮れが近づくにつれ人もどんどん増えていく。繰り返し流れるソーシャルディスタンスの案内放送は効果がなさそうだ。湾と渡島、その後は函館の夜景を見る場所へ人は動いていく。その反対を取りながら景色を見て写真を撮る。トワイライトタイムにはすごい数の人、展望台から降りて自販機でコンポタを買い、人が捌けるのを待つ。f:id:RSSHAKE:20210703072144j:image
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20時を過ぎれば人は疎らに。雲がなく、星がよく見える。一日待って本当に良かった、抜群の景色だ。函館で買った三脚はここぞの場面で活躍してくれた。f:id:RSSHAKE:20210703072237j:image
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記念撮影をしている人が多い。このご時世らしく、シャッター役を入れ替わりながら写真を撮っている。それでも、夜景をバックに全員の写真があったほうがいいだろうと思い、意を決して声をかける。きっと出入り口で手の消毒をしてくれるだろう。2組の写真を撮らせていただいた。うち1組は、車で日本を回っているカップルさんだった。今日北海道入ったようで、自分は今日ここを去る、面白い偶然だった。広角レンズが壊れており、夜景すべてをバックにはできなかったが望遠レンズで二人の写真を撮らせて頂いた。広い北海道、いろいろなところで素敵な思い出ができる事を願う。四国、九州の情報を教えていただいた。夏本番、その光景のすばらしさに暑さを忘れるんだろう。ロープウェイで山麓まで下りる。夜景がどんどん線になっていく、片道1000円、100万ドルの夜景。f:id:RSSHAKE:20210703072553j:image

末広町駅の最終市電は22時32分、その時間まで八幡坂を通りながら駅へ向かう。人通りは全くない。街灯が坂を照らし、海にはベイエリアの光が映っている。坂を下り、小さなホームで市電を待つ。22時30分なのにすごい明るさだ。最終便には自分一人のみ、最高の一日乗車券の使い方ができたような気がする。市電のLEDディスプレイはバスのそれとは違うようだ。f:id:RSSHAKE:20210703072703j:image
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自転車の無事を確認してほっとした。一日自転車から離れたのは初めてだった。ぺコマカードに残ってるお金を使うためにセコマへ寄る。PBのガラナナポリン、ホットシェフ、もう見ることない。それにしても今月はコンビニにお金を使いすぎている。フェリーターミナル近くのラッピ、ツタヤ、セブン、確か初日はここで迷ったっけか。フェリーの時間は3時10分、振り返りは寝落ちを招くので青森からの移動経路を考えながらターミナルで出航を待つ。f:id:RSSHAKE:20210703072720j:image

北海道は広かった。

明日も無事でありますよう、気を付けます。